強がりウサギの不器用な恋
「海藤さんは………そうですもんね。」
「……?」
「真剣に泣いてる女は、放っておけないんですもんね。
……慰めてあげたくなるんですもんね。」
綾乃さんとかいう人も、そういう対象だったのかもしれない。
私と同じように、慰めてあげていて……
放っておけなくて、ベッドで優しく抱いてあげて……
そこまで考えると、キューっと私の胸は締め付けられて、苦しくてたまらなくなった。
「だけど、私のことは放っておいてください。
もう……海藤さんに、ご迷惑はおかけしません。」
掴まれていた腕をブンブンと力任せに何とか振り払い、私はダッシュで逃げるようにビルの階段を駆け下りた。
私は本当にバカだ。
バカだし、おめでたい。
海藤飛向という男は、優しいのだ。
優しいから、泣いてる女は放っておけなくて慰める。
何故それを、私ばかりが独占できると勝手に思ってしまったのだろう。