天才少女の復讐法。


「わんっ…!」


不意に鳴いた子犬に、あたしは呟いた。


「……寂しいけど
あたしとキミも、もう少しでお別れだね…」


子犬を拾った時から、決めていた。


あたしと子犬が一緒に居られる期間は
奴に接触する、直前まで……って。


「短期間だったけど…ありがとね」

 
そう言ったら、気のせいかもしれないけど
子犬は少し、悲しそうな顔をした。


「ダメな飼い主でごめんね…。
新しい飼い主は、
あたしが責任を持って探すから。」 


でも……本当はね
もっと一緒にいたかったな……
なんて思ってしまう。


短い間だったけど、子犬は幸せだったかな…?


あたしは、他人を不幸にしてしまうけれど…


子犬にとって、あたしと過ごす時間は
楽しかったかな…?


「楽しかったって、
思ってくれてたらいいな……」


そう言って、子犬の頭を撫でた……__

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