【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
八、お日柄も良く。



そこは、結婚式にも使われるという旧美術館のレストラン。

吹き抜けの窓からは、パノラマのように外の景色が見渡せる。

母や小百合さんの事だから、鹿威しや庭園、懐石料理が出るような趣ある和風な場所で食事会をするかと思っていた。
緊張しなくても、それほど気取らなくていい雰囲気だったので肩を下ろした。

母と美鈴は着物で、ウエイターに案内される後ろをしずしず歩いているが、ちょっと場違いだ。重く高級感を漂わせている着物は、周りを圧倒させていた。


もちろん私も着るように言われたが、断固拒否。
あの人に頂いたワンピースと、美鈴がくれたシュシュだけで着飾らないようにした。


「まぁ、麗子さん、本日はお日柄もよく」

案内された個室には、既に幹太さん達が椅子に座って待っていた。



小百合さんもおじさんも着物だったけど、幹太さんは紺のジャケットに黒のスラックス。
普段の作業衣と正反対の服装だったけど、落ち着いた雰囲気でとても似合っている。

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