「おい」
幹太さんも首元をパサパサと仰ぎながら個室から出てくる。


「顔色悪いけど、緊張?」

そう聞かれ、私はきっぱりと『ちがいます』と否定した後に溜息を吐く。

「その、先に謝っておきますが、その、お騒がせします」

その言葉を母の前で言うことを想像すると、胸がきりきりと痛む。
ご飯も喉を通らないけど、なんとかゴムのような味も感じない料理を飲み込んだ。
せっかく美味しそうな料理なのに、勿体なかった。


「いい。たまには爆発させろ」

頭をポンポンと乱暴に撫でると、そのまま外に出ようとした幹太さんが急に引き返してきた。

「どうしました?」

「レジのとこ」

やっべ、と小さく呟く幹太さんの肩越しにレジを見て、腰を抜かしそうになった。




「――デ、イビット、さん……」

レジのウエイトレスさんに、身を乗り出して何か質問をしているのは、一か月会えていなかったデイビットさんだ。

白のスーツに、ワックスで流した金髪、横顔からは高い鼻に碧色に輝く瞳が見える。

会いたくて、会えなくて、心が引き千切れるかと思ったけど、さよならを決めた人。

何で、こんな所で。