【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
十一、甘い紅茶。

結納が終わったある午後のこと。
結納と言っても、デイビーのご両親は亡くなってるし、お兄さんの船は今はオランダ辺りだし、仲人を引き受けてくれた佐和子さん達や、叔母さん伯父さん達が挨拶を交わしたぐらいのうちの親にしては簡単なものだった。

それでも、うちの親と同じぐらい頭が堅い方々だからデイビーを見てぎょっとしていた。

でも母のオーラが文句を言わせないといった頑固たるものだったことと、お父さんの古くからの友人の息子だということ、デイビーの人柄がなんとか伝わったのだと思う。



「私、いつお義兄さんって呼ぼうかな」

座敷に飾った結納の品を眺めながら、美鈴が言う。
すっかり、あの悪い大人の虜になっている。
デイビーは、優しい顔の裏は強かで計算高くって、ちょっと悪い匂いがするのにだまされちゃって。

いや、一番私が騙されてるけど。
< 192 / 245 >

この作品をシェア

pagetop