【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
十二、それからそれから。



吐く息が、白く染まる。
結納が終わり、何か月も色々な書類を提出したり、日本の役所に提出するなら和訳、イギリス大使館に提出するなら英訳したり、――面倒くさい作業も終わり無事に私は『美麗・ブラフォード』の名前になった。半年以上かかって大変だった思い出しかない。

まさか結婚の準備の書類だけでもこんなに大変なんて。

なので本当に結婚したのかと思う。まだ実感がわかない。

「今日は小春日和で良かったね」

1月に入ってすぐ雪が延々と降り、寒い日が続いていた。
春月堂の和菓子を用いて、イギリス大使館で日本文化との交流イベントが行われる今日、雪が止み、久しぶりの晴れ渡った空が見える。


仕事中は食べ物を扱うから外しているけれど、あの日買いに行った指輪も完成している。


桔梗さんとマスクをした私は、幹太さんたちの御手伝いもせず、ぼうっと店番をしている。

「本当に晴れて良かったです。デイビーったら、昨日、ずっと照る照る坊主作ってたんですよ」

「あはは。可愛い可愛い」

晴くんが半年になると同時に、保育園へ預け仕事に復帰した桔梗さんは、私の愚痴を豪快に笑い飛ばしてくれた。
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