【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!



まあた、難しい顔してる。

しかめっ面で怖い怖い。眉間の皺なんてきっともう固定されてるわ。


「おい」
「何よ」

「試作品、食べるか?」

幹太が、羊羹を私に差しだしてきた。中に大きな栗がごろごろ入っている。
この親子は、本当に栗が好きだな。

「何笑ってんだ」

「いいえ。いっただきまーす」
半分に切って、そのまま一口で食べてみた。
あー…、美味しい。美味しいけど、幹太みたいな味がする。


「お前があのチビ、推したのか」
「チビ?」
「鹿取の姉の方」

幹太は、今日一日中睨んだり、冷たくしてい鹿取さんが気になるらしい。

「私は今日が初対面だよ。幹太の方が知ってるんじゃない? 鹿取さんめっちゃ怖がってたし」
「……」
図星だったらしい。何か思う事があるのか黙り込んでしまう。
こう言う時ぐらい、言いわけしてみればいいのに。

「優しくしてあげなよ。ただでさえ、幹太は見た目が怖いんだし」
「どうせ、見た目もだよ」
「見た目だけよ、キミは嘘つきなだけ」
< 235 / 245 >

この作品をシェア

pagetop