【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

コトコトとシチューが煮える。
あと数分で出来上がるかなと、洗い終わったお皿を拭きながら、自分の家事の手際の良さに大満足していた。

「美麗、美麗」
「はいはーい」

エプロンで手を拭きながら、パタパタとスリッパの音を響かせると、デイビーが「しー」っと人差し指で静かにするよう促す。

「さくらと私を、写真に撮ってくれませんか」

「……」


私、今料理してたんですけど。

すっかり親バカなデイビーの一眼レフを手に取りながら、こめかみがひきつる。


それでも、桜と同じポーズで寝たふりするデイビーと、気持ちよさそうに眠るさくらを見ていたら、そんな気持ちもどうでもよくなる。

「撮れた?」

「撮れました。もうご飯をよそいますよ」
「ああ。もうお腹がペコペコです」

にっこり笑うと、名残惜しげに起き上がり桜をベビーチェアに移動させた。
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