【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!


大きな満月が落ちて来そうな春の夜。

追いかけてももう追いつけないのなら、満月に潰されて消えてしまいたいぐらい自分の無力さに涙が溢れて来た。


これが恋なんだ。胸を鷲掴みされて、心を凌駕されて、全て捧げてしまいたいこの気持ちが。

貴方は、私に一杯初めてをくれました。
私に、鳥籠に鍵かかっていないことを教えてくれて、選ぶのは私だと手を差し伸べてくれました。

手を取った事は後悔しません。

広い世界を一部だけでも見せて貰ったから。


ただただ今は、祈るばかり。
私みたいな子を抱いたことで遊び人だと噂されないように。
春の夢のように隠れて、皆の記憶から忘れますように。


 春の夜の 夢ばかりなる 手枕(たまくら)に
   かひなく立たむ 名こそ惜しけれ
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