切れない鎖
モノローグ

カッカッカッカッ

と、離れていく足音。

少年が戻っていく音だ。

さっきまでの話だが、父親のいる場時を私は知っている。

そして少年の言うように父親の側に彼がいるのなら、父親はきっと私と彼を……。

その時がもしも来るなら次の春。

歳など父親には何の意味も表さない。

何せ父親には権限があるのだから。

国王はどんな事だって可能なのだ。

どんな事だって変えられるのだ。

その時あの少年はもういないのだな。

自分の国で平和に暮らしている事だろう。

それでいいのだ。

私のせいで少年の人生を狂わせるなんて嫌だからな。

少年のいる国が平和かどうかは知らないが、私の側にいるよりは平和だろう。

3ヶ月後に、さよならだ。
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