誤解から始まる恋もある?

副支配人の裏の顔

デニム地のショートパンツにTシャツ、レモンイエローのカーディガンを羽織り、約束の十分前にサンセットホテルに到着した。

自宅から徒歩二十分ほどのところだ。

金城副支配人はすでに着いていて、ロビーのソファに座っていた。出入口に視線を向けていた彼は、私の姿を見るとソファから立ち上がる。

「夕樹菜ちゃん、こっちだよ」

手招きされ、軽く会釈して近づく。そこで、レストランのメンバーが誰ひとりいないことに気づく。

まだ十分前だから、みんな来ていないの?

「みなさん、もうそろそろですか?」
「いや……実は……誘っていないんだ」

金城副支配人は、少し口ごもりながら驚く内容を告げた。

「えっ? それは……私たちふたりだけってことですか……?」

ホテルのロビーにふたりだけ、というシチュエーションに戸惑いを隠せない。困ってしまい、あたりに視線を彷徨わせる。

「今日は怪我をさせてしまったから、ごちそうしてあげたくてね」

ふたりきりということに緊張しつつも、同じ職場で働く上司として気遣ってくれたことが嬉しくて、コクッと小さく頷いた。

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