薫子様、一大事でございます!

他には……?


ジーっと目を凝らす。



――あ!



私の目に留まったのは、ビルの3階の窓だった。


「これですか?」

「正解」


北見さんからもらえた言葉がやけに嬉しい。


「ほぉ、薫子様もなかなかでございますな」

「もしかして、井上さんは――」


北見さんが大きく頷いたところで、事務所の電話が着信を知らせて響き渡った。


ピンと張った緊張の中、突然の鳴った音に3人ともビクンと肩を揺らせる。


「はい、二階堂探偵事務所でございます」

「……あの……星野です」


電話の相手は、星野さんだったのだ。


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