「お前は俺のモノ」【完結】

オートロックを解除して、エレベーターに乗り込む。
降りる階まで着くと、私は鍵を出す。

初めて、自分で鍵を開けた。


誰もいなくてガランとした部屋。




電気なんかもちろんついてなくって。
自分の歩く音だけが響いて。

それが胸をぎゅうっと痛いぐらいに締め付ける。


暗闇の中、携帯が光っていた。

きっと。

陽子。


今はまだ。
見る気になんてなれない。


「…はあ」


大きく溜息をつくと、私はソファに寝転がった。
それから、天井を仰ぐと静かに目を閉じる。

そのまま襲いかかる睡魔に私は身を委ねた。


どうしても。


…どうしても。
彼の匂いがするベッドでは眠れないと思った。
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