「お前は俺のモノ」【完結】
「つか、何でベッドで寝ないわけ?」

「いや、それは…」


私が口籠ると、きゅっと彼は眉根を寄せる。
怒られると思った私は肩に力が入った。


「いいから、ソファで寝んな」

「………はい」

「ん、イイ子だ」


彼の顔が緩んだのを見て、ほっとしたのも束の間。
ぐいっと彼に腕を引っ張られ、彼の腕の中にすっぽりと収まってしまった。


ドクンと鳴る心臓。
早鐘の様にうるさく鳴る心臓に、今度は違う意味でパニックだ。


「は、離して」

「何で」

「……お酒臭いからっ」

「………」


一瞬、彼が黙った。
それが怖いんですが。

恐る恐る彼の顔を見ると、さっきよりも更に険しい顔をしている。
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