リビングにスーツ姿の若い男性達が入ってくる。

私は目をパチクリさせた。

「うちの優秀な若手を連れて来たんですよ」斎藤副社長は澄ました顔でシレっと言ってのける。

「へ?」意味が解らず聞き返すと、斎藤副社長はタヌキのような顔でにっこりと笑った。

パパへの挨拶が終わったのを見計らい、ユウキはすかさず、若い男性にお酒を勧めている。

ちゃっかり色目を使っていて、どこまでも逞しいヤツだ。

私も新たなお客さまにグラスを運び、ビールを注ぐ。

「燁子さんですか?」男性のうち、一人に話掛けられる。

背が高く、がっしりとしていて、いかにもスポーツマンといった風貌である。

「自分は葛城商事の関連会社葛城メタルの代表をしております不破と申します」

「はじめまして」私は社交辞令で二コリと微笑んだ。

「やはり代表のお譲さんだけあってお綺麗ですね」不破は照れてガハハっと笑う。

デカくてちょっと怯んだけど、悪い人ではないみたい。

「お上手ですね」私もクスリと微笑む。

「僕もお話いいですか?」神経質そうな細身の男が間に入ってくる。

「私は、葛城商事の繊維部門で働いている高橋、高橋豊です」高橋は選挙のように名前を繰り返す。

私は、あっと言う間に数人の男性に取り囲まれる。

ああ、そういう事か。

正月のあいさつにかこつけて、私の再婚相手を探そう、ってことね。

婿に見合う優秀な男性を集めて。

そして、これまでの人生において一度にこんな男性に言い寄られた事は初めてだ。

それだけ葛城の名前って魅力なんだ。

「お酒、持ってきますね」と言って私は逃げるようにその場を後にした。



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