冷徹執事様はCEO!?
「なんでパトカーが停まっているの?」私は不安そうに眉根を寄せる。

「燁子様、出かける時にきちんと施錠しましたか?」

「ええ…多分大丈夫だと思ったけど、あれだけ広いと全部は調べられなかった」

「何かあったかもしれません。行ってみましょう」

私は引き攣った表情でこっくり頷く。

空き巣が入ったとか?だったらどうしよう。

出戻ったうえに空き巣にまで入られたなんて事になれば、実家も追い出されるかもしれない。

田中はタクシーの運転手さんに料金を払うと素早く車から降り、後部座席のドアを開ける。

「燁子様」差し出された手を握り車を降りると、そのまま小走りでーー田中は速歩だったけどーー玄関に向った。

田中は私の手を強く握り扉を開けた。
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