イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


何度目かの私の訴えに、彼は私の身体に埋めていた顔を上げ意地の悪い笑顔を作った。

「だったら、なんて言えばいいか分かってんだろ?」

これを言われるのももう数度目だ。
私がいやだやめてと言うたびに、返ってくる言葉は同じだった。

繰り返されるたびに、強固に持っていたハズの気持ちに諦めが広がり始め……最終的には呑み込まれてしまう。
でもむしろ、今まで彼が生み出す背中をぞくぞくさせるような感覚に耐え続けた私はすごいのかもしれない。

彼が私に与えたのは、それくらいのモノだった。

「変態。サド。異常性癖、鬼畜、外道。変態変態変態」

整わない呼吸と一緒に私が並べた言葉を聞いて、彼は苦笑いを浮かべる。
どれも決して間違っていないと思うのに、なんだか不満そうだ。笑みが怒りを含んでる。

「この減らず口が。俺は変態じゃねぇ」

身体を少し浮かし、私と同じ視線になるように上がってきた彼を見ながら、まさか本当に変態の自覚がないんだろうかと考える。

今までの彼女はそんな文句ひとつもらさず付き合ってきたって事? こんなしつこい行為に?
……すごいな。 
だとしたら、よほどそっちの趣向が合ってたか……それか凄まじいボランティア精神の持ち主だったかだな。

それとも……私が相手だから特別なのか。
嫌がらせか、当てつけかは分からないけれど。

そんな事をぼんやり考えている私の頬に、彼が手を伸ばす。

ごつごつした手を心地よく思ってしまっている私はもう、彼の作る波の中に堕ちてしまってるんだろうなと自覚して悔しくなった。


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