地図に無いパン屋
遅刻~近道~パン屋
LINE(速斗):おはよー!早くしないとまた遅刻だぞ笑
先に行ってるからな( ´ ▽ ` )ノ

いつものモーニングLINEで目が覚めた…。
相手は中学からの友人でもある速斗。

ゆっくりと起き上がって、支度を始める。

2階の自室から出て、階下のリビングへ向かった。両親は早起きで朝の7時には仕事に行く。
用意された朝飯、行って来ますの置き手紙…もう読むのも面倒になってきた。

7時半、諸々の支度も終わって家を出たけど確実に遅刻コース。
このままだと遅刻記録三ヶ月連続…
流石に担任から呼び出されて怒られんのも嫌気が差す。

家から程近い商店街、いつもは使わない裏道みたいのに入った。
遅刻からの呼び出し嫌だったし…
地理的にはその裏道を真っ直ぐ抜けられれば学校まで一直線になる、、筈。

朝なのに薄暗い裏道を進む。
何分ぐらい歩いたのか、全く抜ける気配が無い事に不安さえ覚えた。
しかし今更、引き返せず突き進む。

暫く進むとパン屋の看板。
薄暗いけど、看板横のランプに照らされたパン屋の看板が見えた。

『え、、こんなとこにパン屋?…』
驚きと共に独り言。
周囲には誰もいないし、何より裏道の途中に少し広めの空間とか怪し過ぎる。
不審に思いながらも足はパン屋の出入口に…

遅刻…怪しいパン屋。
パン屋なんかに寄る理由もないけど、なんとなく気になって暫く立ち止まってた。

ドアを開ける勇気も無い。
かと言って、場を離れる気も無い。

LINE(速斗):もう着いたけど、まだ寝てんのかよ?
流石に今日も遅刻したら担任に絞られんじゃね( ̄ー ̄)ニヤリ

ヤバい、速斗に返すの忘れてた。
テキトーに返事して、ケータイをポケットにしまいこんだ。

そこからまた暫く立ち尽くしてたけど、フッと美味そうな香りを感じた。
きっと最初から香りはあったんだろうけど、今更になって香りを感じた。
その香りに誘われる様に無意識のままドアノブに手をかけ、気付けばドアを開けてた。
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