朱里は焦った。知らなかったとはいえ中山にお酒を飲ませてしまった。
この間も、今も。

「どうして言ってくれなかったの?」

「あの…」

「大事なことなのに」

「………」

「………」

お互いテーブルを見つめて黙ってしまった。

「…取り敢えずお店出よう」

先程誕生日を祝った隣のテーブルのカップルが、雰囲気が悪くなった朱里と中山の様子を気にしているのが分かった。
会計のために店員を呼ぶと中山はすぐに財布を出したが、

「いい。今日は私が出すから」

と朱里は制した。
中山はお金を渡そうとしたが朱里は一切受け取らず、足早にお店を出た。





中山は後ろから無言で朱里について来る。
しばらく歩くとお店から離れて止まり、朱里は振り返った。

「確信犯だよね。この間の時も」

「あの…」

「あと少しで二十歳だしいいやって思った?」

「あんまり深く考えてなかったです…」

「年齢確認しないお店側もどうかと思うし、私も二十歳になってるって勝手に思ってたのは至らなかったけど、一応未成年なんだから」

思わず強く責めてしまった。
大事なことなのだから言ってほしかった。

「あの、朱里さん」

「なに?」

「怒ってます?」

「………え?」

中山の問いかけに驚いた。

「朱里さんは二十歳になる前に飲んだことないんですか?」

「ないよ。他の子は分からないけど、私は二十歳になってから飲んだ」

「お酒飲んだことで怒られるとは思ってませんでした」

「飲んだ方も飲ませたお店もまずいからさ…」

朱里の強気な態度はどんどん中山に押されてきた。

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