「中山くんの気持ちはすごく嬉しいよ。本当に。だけどもっと自然に付き合える子が他にいると思うんだ」

「橘さんが年上で社会人だろうと、俺が学生で年下だろうと、俺と橘さんが一緒にいるのはおかしいですか?俺はそうは思いません」

「中山くん…」

「橘さんより後に生まれちゃったのは仕方がないです。学生でいることは譲れません。それでも好きです!」

「いいかな…私で」

「いいんです」



橘朱里さんが好きだから。



「嬉しい。ありがとう」

「…じゃあ付き合ってくれますか?」

「…はい」

暗い道が一気に明るくなったように感じた。
朱里も照れているのか嬉しそうに笑っている。

「まだ中山くんのことほとんど知らないから、ゆっくりでもいいかな…?」

「はい、お願いします」

これからゆっくり関係を深めていきたいのは瑛太も同じ思いだった。



朱里と別れ、改札を通りホームへ入るまで見送った。
振り返った朱里に、瑛太は思いっきり手を振った。











朱里と直接会えたのはあの日だけだが、毎日何回もメッセージをやり取りしていた。

朱里は店の前を通ると瑛太を探してくれる。それが嬉しくて手を振った。
照れながら振り返してくれることが更に嬉しい。
その夜は決まってLINEをくれた。

『今日お店の前を通ったけど中山くんいなかったね』

そんなことを言われたら無駄にシフトに入りたくなる。



「中山くん誰に手振ってんの?」

「いや…ちょっとね」

朱里の仕事が終わって帰る頃の時間に店にいることが多いので、よく相沢に変に思われた。





授業がないので昼からシフトに入っていた日。
ランチタイムのピークが過ぎた頃、朱里が仕事の打ち合わせに来た。予期せぬ来店だった。

朱里がレジの前に立つと、瑛太は朱里が言う前に「アイスティーでよろしいですか?」と言った。
朱里が頼むものは分かっている。
暖かい日はアイスティー、涼しい日はホットティーだ。
必ず砂糖とミルクか、ガムシロップとミルクをつける。

この作品のキーワード
カフェ  年下  社会人  大学生  年の差  バイト  ナンパ  三角関係  床ドン  すれ違い 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。