創作料理店に入り朱里と向かい合って座った。
今日は店に来てもらえて仕事しているところが見れた。
帰りに偶然会えてご飯にも行けたことに瑛太は満足していた。

店内の照明が暗くなりBGMが華やかな曲に変わった。
店員が厨房からケーキを手に持って現れると、瑛太と朱里の隣のテーブルに置いた。

「お誕生日おめでとうございます!」

どうやら隣に座ったカップルの女性が誕生日のようだ。
店内が祝福ムードに包まれ、瑛太と朱里も隣のテーブルの二人に「おめでとう」と言った。



「お店がお祝いしてくれるんだね。残念、私の誕生日って先月だったんだよね」

それは本当に残念だ。恋人同士の大事なイベントを一つ逃してしまった。

「じゃあ遅くなったけど今度お祝いしましょうか」

「いいよー…来年で」

朱里の誕生日は祝ってあげたかった。
何をプレゼントしよう。どう祝ってあげようか。
瑛太は朱里の喜ぶ顔を想像しながら梅酒を飲んだ。

「あれ?…そういえば中山くん今年成人式だって言ってたよね…?」

「はい」

「てことは…今はまだ未成年なの?」

「………」

「はい」と答えようとしたが、朱里の顔を見た瞬間、何も言えなくなった。
大きく見開いた目が瑛太を責めている気がして焦った。

「どうして言ってくれなかったの?」

「あの…」

「大事なことなのに」

「………」

「………」

お互いテーブルを見つめて黙ってしまった。
瑛太は混乱した。朱里の様子はどうやら怒っているみたいだ。

なぜ?
酒を飲んだことが、そんなに悪いことだろうか?



「取り敢えずお店出よう」

朱里は店員を呼ぶと伝票に記載された金額を見て財布を出した。
瑛太もすぐに財布を出したが

「いい。今日は私が出すから」

と低い声で言われた。
瑛太はそれでもお金を渡そうとしたが朱里は一切受け取らず、足早にお店を出た。



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