しばらく歩いた朱里はお店から離れて止まり、すぐ後ろを歩いていた瑛太を振り返った。

「確信犯だよね。この間の時も」

「あの…」

「あと少しで二十歳だしいいやって思った?」

「あの、朱里さん…怒ってます?」

今の朱里はいつもより目が怖かった。
酒を飲んだことは怒るほどのことだろうか?

「お酒飲んだことで怒られるとは思ってませんでした」

「飲んだ方も飲ませたお店もまずいからさ…」

その言葉に、この間と今夜の楽しかった食事が全部悪いことのような気がしてしまった。

「気を遣わせたくなかったから」

「気なんて遣ってないよ」

「朱里さん気遣ってるよ。さっきも俺にお金払わせなかったし」

いくら学生でもバイトもしているし、それなりの収入はある。全部朱里に出させるなんて格好がつかない。

「それは…この間出してもらったから」

「違うよ。俺のことまだ子供扱いしてるんだよ」

瑛太は不貞腐れて言った。
確かに自分はまだ学生だから、社会人の朱里とは収入が大きく違う。
でもその現実を考えないで付き合っていきたかった。

「子供扱いなんてしてないから」

朱里の声はいっそう低くなった。
いつもの優しくて穏やかな朱里ではなかった。

「私、中山くんはそういうとこきちんと言ってくれると思ってた」

その言葉に瑛太自身を、朱里と付き合ってからの時間全てを、否定されたように感じた。

朱里が抱いていた瑛太の印象が悪くなったのが分かった。
瑛太が未成年だと教えてくれなかったことに朱里は失望しているのだ。

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