『今駅に着きました。どこに行けばいいですか?』

『私がそっちに行くから、改札出ないで待ってて』

瑛太からのLINEに急いで返信する。
階段を上り曲がったところで瑛太がこっちに歩いてくるのが見えた。
朱里の姿を確認すると向こうも早足で近づいてくる。

「改札出なくてよかったのに…」

「朱里さんに早く会いたかったから」

瑛太は笑顔だった。つられて朱里も自然と笑う。
最後に会ったときのことを思い出した。瑛太は朱里に怒っていると思っていた。
たとえ今だけでも笑顔で会ってくれたことに安心した。

「歩きますか」

「うん…」





駅から歩きコインパーキングの横まで来た。

「はい、朱里さん」

瑛太は自動販売機で買ったロイヤルミルクティーの缶を朱里に渡した。

「朱里さんってうちのお店でロイヤル飲まないですね。ただのミルクティーよりロイヤルの方が好きそうなのに」

「だってあのカフェってロイヤル高いんだもん。たまにしか飲めない」

朱里は缶を開けてロイヤルミルクティーを飲んだ。

「中山くんは私の好みを何で分かるの?」

「何となく分かっちゃうんです。きっとコーヒーも砂糖とミルク入れないと飲めなそう。カフェラテも好きですよね?砂糖は必須で」

「ほんと…何でも分かるんだね」

瑛太はコーヒーの缶を持ちながら朱里を見た。

「何でもじゃないよ。朱里さんが今何を考えてるかは分からないし」

「………」

「俺のことも、きっと誤解してる」

暗くてよく見えないが、瑛太は悲しそうな声で言った。

「俺のこと嫌いになったでしょ。嘘つきで、思ったよりも子供で。まぁ実際まだガキなんですけど…」

「そうじゃないの!違うよ」

朱里は必死で言葉を選ぶ。

「私が変なとこにこだわりすぎてた。真面目すぎるってよく言われるし、中山くんの気持ちも考えなかった…」

カコン、と瑛太がゴミ箱に空き缶を捨てる音が響いた。
瑛太は無言だった。
ゴミ箱を見つめ、朱里に背を向けている。

「私に合わせてくれたんだよね。私を楽しませようとして」

優しく言葉をかけても瑛太は微動だにしない。
朱里は泣きそうになるのを堪えて話し続ける。

「中山くん、気を遣わせてごめんね…」

「かっこわりー!!」

突然瑛太が叫んだ。

この作品のキーワード
カフェ  年下  社会人  大学生  年の差  バイト  ナンパ  三角関係  床ドン  すれ違い 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。