「どうぞ」

瑛太にドアを開けてもらい部屋に入った。
1Kの小さい部屋には必要最低限の家具があるだけのシンプルな部屋だ。

「へー、綺麗にしてるんだね」

我ながら有りがちな台詞だと思った。

「最近は家にいることも多くなったから、逆に掃除ができるんです」

「えらいね。私なんて忙しさを理由にして全然だよ」

「どうぞ座って」

部屋の真ん中に置かれたテーブルの前に座った。
瑛太がテーブルに次々とつまみを並べていく。

「多いね」

「ちょっと買いすぎちゃいました。はい、朱里さんにはビール」

瑛太は朱里の前に缶ビールを置いた。

「俺はこれです」

ノンアルコールを謳う梅酒を朱里に見せた。

「これでも怒る?」

「怒らないよ」

さすがの朱里だってノンアルコールにうるさくは言わない。不安そうな顔をする瑛太に微笑んだ。

「瑛太くんも座って。食べよう」

「はい」

「乾杯」

「お疲れ様」





「お店でサンタの小さいフェルトの人形を名札の下につけるんです。で、さらにサンタの小さい帽子をヘアピンで頭につけるんですよ。拷問です」

「それ可愛いじゃん」

「嫌ですよ、恥ずかしい。普通にサンタ帽子を被った方がまだいいです。数センチの小さいやつだから余計目立ちます」

「今度見に行くよ」

「絶対にやめてください!」

瑛太の心から嫌そうな顔に朱里は笑う。

「朱里さんビールおかわり飲みます?」

「うん、じゃあもらおうかな」

瑛太が冷蔵庫に取りに行くと、朱里は改めて部屋を見回した。
きちんと掃除され、クリアケースから見える服も綺麗に畳まれている。
ベッドの下にも視線を向ける。
ここに見られたくないものを隠すのが王道だが…

「何見てるんですか?」

瑛太が朱里の前にビールの缶を置いた。

「別に…」

「変なものは隠してないですよ」

「そんなつもりじゃ…」

「朱里さんに見られちゃ困るものはないから」

笑いながら瑛太は朱里の横に座った。
何気なく瑛太の方を向いた瞬間、朱里のすぐ目の前に瑛太の顔があった。

「っ…」

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