じっと朱里を見つめている女の子に何と言葉をかけたらいいのか迷った。
迷った末に

「それで?」

と、挑戦的に答えてしまった。
女の子がイラついたのが分かった。

「負けません」

思いの外真剣な目に押されそうになる。

「私の方が先に好きになったんだから」

「………」

「あなたには負けませんので」

そう言い捨てると女の子は朱里の横を抜け、駅の階段を下りていった。



「何…今の…」

宣戦布告というやつではないか?
勢いに圧倒され何も言い返せなかった。「負けません」と言われてしまった。

あの子も恐らく学生だろう。
年下の女の子に恋のライバル宣言されたということに実感が持てなかった。











「朱里さんお疲れ様」

瑛太はアパートの玄関で朱里を迎えてくれた。

「どうしたの?なんか元気ないですよ」

「そ、そうかな…?疲れてるのかも」

瑛太に先程の女の子のことを言うべきか迷った。瑛太はあの子が自分のことを好きだと気づいているのだろうか…?

聞きたい。
でもそれを言ったところで、瑛太がその子のことを意識し始めてしまうのも嫌だった。

「大丈夫ですか?」

瑛太が顔を覗き込む。朱里の顔のすぐ近くまで瑛太の顔が近づく。
優しい目をした瑛太に甘えたくなった。

瑛太の首に腕を回すとキスをした。
角度を変え、何度も唇を合わせた。

「ちょっ…朱里さん?」

朱里の勢いに瑛太が動揺したのが分かった。
靴を脱ぎ、コートをその場で脱ぎ捨てた。

「瑛太くん…もっと…して」

「どうしたの?今日変だよ」

「甘えちゃ…だめかな?」

慣れない上目使いで見つめた。
どう思ったかは分からないが、ふっと瑛太が笑う。

「だめじゃないよ」

瑛太の腕が朱里の膝の裏に回り、そのまま抱え上げた。
お姫様抱っこでベッドまで運ばれた。
そのままベッドの上に下ろすと、朱里の上に覆い被さった。

「疲れてる朱里さんを優しく癒してあげますよ」

「うん…お願いします」

瑛太の唇が重なり朱里はゆっくり目を閉じた。身体を這う手の動きに完全に身を任せた。





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