今夜も朱里は瑛太の家に来る約束になっている。
明日は久々に休みが合うので、映画を観に行こうと計画している。

玄関のチャイムが鳴りドアを開けると、目の前に立っていた朱里の表情は暗かった。

「朱里さんお疲れ様」

疲れているのかと思い、瑛太はいつも通り朱里を迎えた。

「どうしたの?なんか元気ないですよ」

「そ、そうかな…?疲れてるのかも」

「大丈夫ですか?」

朱里の顔を覗き込む。
何かに怯えているような、怒っているような、複雑な顔をしている。

朱里が玄関に入り、突然瑛太の首に腕を回すとキスをしてきた。
驚いて瑛太は硬直する。
朱里は角度を変え、何度も唇を合わせた。

「ちょっ…朱里さん?」

唇が離れ瑛太はいつもと違う朱里の様子に慌てた。
朱里は靴を脱ぎ、コートを脱ぎ捨てた。

「瑛太くん…もっと…して」

いつもの朱里からは想像できない発言に瑛太は更に驚く。

「どうしたの?今日変だよ」

「甘えちゃ…だめかな?」

可愛らしく潤んだ目を向けられ、ふっと瑛太が笑う。

「だめじゃないよ」

瑛太は腕を朱里の膝の裏に回し、抱え上げた。
お姫様抱っこでベッドまで運ぶ。
そのままベッドの上に下ろすと、朱里の上に覆い被さった。

「疲れてる朱里さんを優しく癒してあげますよ」

「うん…お願いします」

瑛太がキスをすると朱里はゆっくり目を閉じた。



何か悩み事があるのだろうか?
仕事のことか。

それとも…

いつも以上に甘い声を出す朱里に、瑛太も応えるように動きを激しくした。











次の日も朱里の様子はどこか変だった。
自分から手を積極的に繋いできたり、よく瑛太の顔を見るようになった。

朱里が自分から何かを言わない限り、瑛太からは何も聞かないことにした。

映画を観ている最中も、朱里の目はスクリーンを見ているようで見ていなかった。
そんな朱里を見て瑛太までも辛くなる。
力になれない自分、力不足だと思われているかもしれない自分が悔しかった。




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