今頃瑛太は相沢と仲良く働いているのかと思うと、気が気でなかった。
瑛太が帰ってくるまでの時間を何度も時計を見て確認する。

瑛太のリクエストで作った肉じゃがは、考え事に夢中になったまま忘れ、鍋の中で煮崩れしてしまった。

「はぁ…」

形が崩れて小さくなったジャガイモを見て溜め息をついた。

閉店作業中に告白されたかもしれない…
事務所で着替えているときに告白されたかもしれない…

嫌なことをどんどん想像してしまい辛くて仕方がない。

その時玄関の鍵が開く音がした。瑛太が朱里の部屋に帰ってきた。

もう相沢に告白されてしまったかも…
相沢と付き合うから別れてと言われたらどうしよう…

瑛太の顔を見るのが怖かった。

「ただいま」

「………」

「朱里さん?」

キッチンに顔を出した瑛太の、いつもと変わらない様子に安堵する。
朱里は不安で押し潰されそうだったが、肩の力を抜いて瑛太に歩み寄ると、そのまま瑛太に抱きついた。

「どうしたの?何かあった?」

いつもと変わらない声で朱里を気遣う。
その優しい声に泣きそうになり、誤魔化すように額をグリグリと瑛太の肩に押し付けた。

「肉じゃが…失敗しました…」

プッと頭上で瑛太が吹き出した。

「なんだぁ…何かあったのかと心配しました」

瑛太の手が朱里の頭を撫でる。

「大丈夫。一生懸命作ってくれて、ありがとうございます」

瑛太の言葉を聞いた瞬間泣きそうになるのを堪えた。

この宝物を絶対に手放したくない。

瑛太の腕に抱かれて強く思った。





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