「今日バイトどうだった?」

瑛太が朱里の家に来るなり心配でつい聞いてしまう。

「別に、いつもと変わりませんけど。何で?」

「ううん、聞いてみただけ。疲れただろうなと思って…」

「お正月過ぎたら暇だから。楽だよ」

「そうだよね…」

相沢から瑛太に告白すると宣言されて以来、瑛太の些細な言動に一喜一憂して朱里は疲れてきている。

「朱里さん大丈夫?」

何かとリアクションの大きい朱里を不審に思ったのか、よく瑛太に声をかけられた。
瑛太の様子からは告白されたかどうかを知ることは難しい。朱里から聞くこともできなかった。

相沢が瑛太に告白するよと伝えても、素直な瑛太は相沢を意識してしまうだろう。
それは相沢の思う壺だ。
朱里が伝えたその後に瑛太との関係も気まずくなると予想できた。



瑛太は明日から実家に帰り、地元で成人式に参加する。
しばらく会えないのは寂しいのと同時にほっとする。
相沢がまだ告白していないのだとしたら、しばらくは向こうも瑛太に会えない。
告白のチャンスは先延ばしだ。










朱里がタイムカードをレコーダーに挿入した直後、更衣室のドアから山本が出てきた。その手にはコートを持っている。

「お疲れー」

「お疲れ様」

「あれ、橘帰るの?」

「うん。お先です」

「あ、俺も出るわ」

山本は朱里に続いてオフィスのドアから出た。

「山本どっか行くの?」

「駅のカフェ」

コートを羽織りながらエレベーターのボタンを押す。

「最近よく行くね。昨日もコーヒー買ってたよね?」

山本はテイクアウトの紙カップをよく手に持っている。

「優衣ちゃんに会うためにね」

「誰それ?」

「相沢優衣ちゃん。橘の彼氏を狙ってる子」

「何で下の名前まで知ってるの?」

「通い詰めて仲良くなって、教えてもらったの」

山本の行動力には驚きを通り越して呆れる。

この作品のキーワード
カフェ  年下  社会人  大学生  年の差  バイト  ナンパ  三角関係  床ドン  すれ違い 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。