Sugar&Milk




瑛太くんは年が明けると実家に帰ってしまい、私は今日から仕事が始まるから駅の改札から会社方面への道に繋がる通路を歩いていた。
後ろからカツカツと靴音が聞こえ、私の歩くスピードより早いその音の持ち主は横に並んだ。何となく横を見ると目を見開いた。相沢さんが私の横を歩いていた。視線に気付いた相沢さんも横を向き、目が合った。

「あ……」

「どうも……」

会社とこの子の自宅が同じ最寄り駅だと聞いたときにいつかは偶然会ってしまうかもと思っていたが、気まずい瞬間は思っていたよりも早く訪れた。

「…………」

「…………」

お互い無言になってしまう。気まずくても、先に行くことも歩く速さを緩めることも不自然な気がした。何か会話を、と気を遣ってしまい「これからバイトですか?」と私から話しかける。

「はい……」

「…………」

無理に話しかけてもこの空気に耐えられないと思って「それじゃあ……」と先に行こうとした時「あの、待ってください」と相沢さんに呼び止められて緊張しながら振り向いた。

「何でしょう……」

「私、中山くんに告白します」

「え!?」

相沢さんからの突然の宣告に驚き大きい声が出た。

「えっと……瑛太くんは私と付き合ってるって分かってますよね? それでもですか?」

「はい。分かってますけど、それでも告白します」

悪びれる様子もなく言い放つ相沢さんに怒るべきか笑うべきか迷った。

「告白して、振られてもいいんです。気持ちを伝えたいから」

年下の学生だから、と今まで考えないようにしていたけど私は相沢さんのことが苦手なのだとはっきり自覚した。

「そんなの勝手ですね……瑛太くんや私の気持ちを乱しても構わないってことですか?」

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