「がんばれっ、タツキ、シュートだよっ!」

 私は観客席から声を張り上げ、祈るように両手を胸の前で組んだ。右隣ではタツキの彼女であるメグが、同じようにして声援を送っている。メグの目はゴール前でボールを受け取ったタツキに釘付けだ。私も今だけは遠慮せずにタツキを見つめる。

「あー、何やってんだよ!」

 私の左隣ではコウタが拳で膝を叩いた。タツキがゴール右隅に向かって放ったシュートが、ポストに当たって相手チームのディフェンダーに拾われてしまったのだ。ボールはすぐにセンターに送られ、敵も味方もボールを追って走り始める。

 周囲の観客席からは「あーっ」という落胆の声と、「戻れ、戻れ」という怒声が上がる。

「あれは入れないとダメだよなあ、アオイ」

 コウタが半分怒って半分残念そうな顔で私を見た。

「うん、惜しかったね」

 私はまた眼下の緑色のピッチに視線を戻した。タツキの所属チーム、ブルーのユニフォームが鮮やかな滋賀レイカーズは、J2の首位攻防戦という大事な一戦で、相手チームに1点のリードを許している。

「今年こそJ1に上がれよっ」

 コウタはピッチを全速力で走るタツキを真剣な面持ちで見つめている。

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