「芙美、別れよう」

予想もしていなかった智樹からの別れの言葉。

「他に好きな人が出来た?」

「ごめん。芙美」

智樹はハッキリとした答えを言わないまま、
私に背を向け、歩き出す。

・・・智樹の背中が好きだった。
広くて、大きな背中を見てるのが幸せだった。
なのに、今は凄く辛いなんて・・・

私は、その背中が見えなくなるまで見送っていた。
その日以来、智樹への気持ちを心にしまい込んだまま
大学を卒業した・・・



春が来て私は社会人となり、あっという間に数年が経過した。
今ではもう智樹の背中を思い出す事も無くなっていた。

「秋山さん、この書類出して来て」

「はい」

書類を受け取り、私物の鞄を肩にかけ会社を出る。

「ポストより郵便局で直接出した方が早く着くかな」

私は会社近くのポストを通り過ぎ、交差点の向こうの郵便局を目指す。
信号は赤。私は書類の入った封筒を胸に抱え、立ち止まる。
腕時計は12時を指していた。

・・・よし、帰りにそのままランチして会社に帰ろっかな・・・

歩行者信号が青に変わる。私は一歩踏み出した。

「?!」

後ろから来た人が私を追い越してゆく。
その後ろ姿に、背中に見覚えがあった。
と、同時に胸がキューッと締め付けられる。
私はたまらず、声をかけた。

「智樹!!」














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