Third Time Lucky
適当な会話を続けながら私は手元にある資料を広げてディスプレー案を記した用紙を探した。

どこ行ったんだろう、複数あるクリアファイルの中身を何度も確認してみるが見つからない。

「何探してるんですか?」

「クリスマス用のディスプレーが載った紙。店頭の並びをガラッと変えるから今日やっておきたくてさ。」

「ああ、もうそんな時期ですね。」

そう呟きながらカレンダーを眺める葛西くんが視界の端の方で映っている。

そういえば私もこの話が来た時はそんな風に感じたっけなとぼんやり思い出して小さなため息を吐いた。

1年って早い。

不安だらけだった店長業務についてもうすぐ1年が経とうとしているなんて、一気に老けこんだ気がして疲れてきた。

葛西くんの話で思い出したけど、自分の恋愛なんて仕事が忙し過ぎて置き去りにしたままだな。

「クリスマス商戦、頑張んないとね!」

もうここまで置き去りにしたんだから暫く仕事が落ち着くまではそのままにしておこう。

この店の売り上げを出すことが今の私の最重要課題だ。

「お!あったあった!」

前後の紙に引っ付いていたようで、お目当ての資料が見つかってホッとした。

「藤内さんって。」

不意に声をかけられて私は顔を上げる。目を細めて私を眺めるその姿は、まるで値踏みしているかのようで少し嫌な感じ。

「なに?」

「壁ドンじゃ落ちないんですかね。」

まだその話?

そんな思いを込めて呆れた表情を浮かべるも葛西くんはさらに考えを深くするように唸り声を上げた。

おいおい勘弁してくれ、というか仕事に戻ってくれ。
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