雪と、キミと、私と。
私が勤めてるのは家具販売店。インテリアを多数取り扱うこの店で、まずは販売員として立っている。
インテリアは詳しかったわけではないけど、興味のある分野だから、ここに就職出来てよかったと思う。

売り場に立って商品を見回り、色々と覚えながら接客もする。半年以上経った今では、だいぶ接客に余裕も出てきた。

東京でも、コタツの需要があるなんて意外だったなぁ。

展示してあるコタツを見たあとに、くすりと思い出し笑いしてしまった。
もちろん、昔実家でも冬場は居間に置いてあったコタツ。

よく、外から帰ったあとは、一目散にコタツに入り込んだっけ。っていうのも、小学生の話だけど。
コタツの上にはカゴに山積みになったミカン。それと、お母さんが甘酒を作ってくれて、ミカンを挟んでコップが2つ置かれて。

『早雪(さゆき)ちゃん』

高い声で私をそう呼ぶ、5つ下の幼なじみ。冬になると大抵ほっぺを真っ赤にしていて可愛いものだった。

「なに笑ってるの?」
「えっ!あ、なんでもないっ」

須藤くんに声を掛けられて慌ててしまう。
別に大したことでもないから言っても問題ないんだけど。でも、出身が違うと通じないかもしれないし、適当に流しておこう。

「あ、雑貨の方の品出し確認してくるね」

上手くかわした私は、すたすたと歩き須藤くんを置いて雑貨の売り場へと向かう。
冬の時期は小物が可愛い。キャンドルポットやサンタを象ったマトリョーシカを綺麗に陳列しながら、また自然と笑みがこぼれた。

「お疲れさまでした」

ようやく一日が終わり、職場をあとにする。
淋しいもので、年頃だというのに彼氏もいるわけじゃなく。一歩店を出たあと向かうのは自宅へと向かう路線の駅。

コツコツとブーツの音を鳴らしながら歩いていく。ほぅっと白い息がゆらりと空へ舞い上がる。
向こうは、もう雪が積もってる時期のはず。
こんな軽快な音なんかしないで、もっとこう……ギュッギュッと踏みしめるような足音なんだよね。
やけに雪が降る夜は静寂に感じて。だから、その足音がとても大きく聞こえるんだけど、あの音は嫌いじゃない。

……いや、好きだ。
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