女子力高めなはずなのに
「気にしなくていいよ」

「でも……」

「一晩中可愛い女の子を抱いて眠るなんて、男冥利に尽きるから」

「なっ!」

俺が笑うと彼女は顔を赤くした。

そんな顔されたら、俺に気があるんじゃないかって期待してしまうよ。

「アンタ、ホントにバカ!今回はこの間お世話になったお礼なんだから……。ホント、勘違いしないでよね!」

「あっそ、はいはい」

中野さくら。

少しは俺の方を見てくれているのか?

その輝きで俺の真っ暗な足元を照らしてくれるのか?

俺としたことが、君を見ていると、自分の影を乗り越えて前を向いて歩きたくなるんだ。

たとえそれが茨の道であったとしても。
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