女子力高めなはずなのに
次の日の朝、吉田課長に「中野ちゃん、昨日はお疲れ!ごめんよー」と全く反省していない様子で軽く声をかけられた。

もう!井川さんが気がつかなかったら、アンタが会議で血祭りに上げられてたんだよ!

「これからは本当に気を付けてください」

強い口調で言うと、吉田課長は私に怒られるとは思っていなかったのか、驚いた顔をして下唇を出して首をすくめた。

私も言うべきことは言うようにしたんだから!

今回は私も反省をした。

ぶつかりたくないとか、嫌われたくないとか、そんな気持ちでちゃんと伝えることを避けていたなんて、私が不誠実だった。

理恵とも話をして、愛ちゃんは初歩から叩き直すことになった。

「もう!アタシッたら!本当にすみませんでしたあっ」

エイエイッと頭をコツコツ叩くふりをする愛ちゃん。

そんなベタな仕草、久し振りに見たよ。

ぶりっこ健在だなあ。

まあ、この調子ならちょっと厳しくしても大丈夫。

さっそく理恵に「だいたいアンタ、伝票ためすぎ!」と怒られている。

愛ちゃんにはまず、伝票の印刷をしてもらおうかな。

それにしても、井川さんの仕事は本当に早かった。

私一人だったらあの3倍くらい時間かかってたと思う。
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