おかしい。
 
身体が、変だ。
 
彼氏と身体を重ねているときに、いつも部外者のように外から眺めていたもうひとりの自分が、今はどこにもいない。
 
直接肌で触れ合うトーゴくんのぬくもりが、あたたかくて、心地よくて、涙が出そうだった。


「羽華」
 
ふと優しくささやかれて、胸の奥がどうしようもなく締まる。
 

トーゴくんが押し入ってきても、痛みはまったく感じなかった。
それどころか、喜びに似た甘い感覚にとらわれる。
 
これまで空虚でしかなかった行為が別の意味合いを孕み、身体と一緒に、心まで貫かれたみたいだった。

「トーゴ、くん……」
 
全身を覆う熱に浮かされながら、思う。
 

強く、抱きしめてほしい。
 
口にはできず、衝動をこらえていたら、トーゴくんはまるで心の声が伝わったみたいにわたしに腕を回し、力強く抱きしめてくれた。

「羽華……」
 
触れ合った肌の優しいぬくもりに、目をつぶった。
 
胸の底から湧き上がってくる。
 
あったかくて、切ない、この感情は――。

「羽華っ」
 
呼吸を乱しながら、トーゴくんは苦しげに名前を呼ぶ。そんな声さえ、わたしの気持ちを高めていく。


「待ってろ、俺を」
 
今まで感じたことのない突き抜けるような切なさに、全身が震えて、

「ちゃんと待ってろ――」
 
自分がこの世から消えてしまうんじゃないかと思うほどの、まっしろな光に呑みこまれて、それきり意識が途切れた。