最後の恋愛
第3章 「月曜日」
*月曜日*

会社は都心の高層ビル。

カードキーで社員認証してからエレベーターに乗り込む。

私の周りで飛び交うオハヨウゴザイマスに、キリッとした目つきでオハヨウと答えて7階に到着。

デスクに座って、今週の仕事をスケジュール帳で確認。

「森さん。」

声をかけられて、顔を上げる。

そこには部所長の大麦隼人の姿があった。

「おはようございます」

「うん、おはよう。」

「あれ、なんかいつもと違うね。」

ぎくっ・・・

いやいや、会社にはいつも通りの私で来たはず。

気付かれるわけないって。

「そうですか?」

「うん、なんだか目がはれぼったい。もしかして失恋して土日泣いて過ごしたとか?」

冗談じゃないほどのド・ストライクの言葉に私の身体は思わず固くなる。

え、何で知ってるの。

「え、や、ははは、何言ってるんですか、大麦部所長。もー、せ、セクハラですよぉ。」

ものすごい、違和感を覚える間をおいて、何とか搾り出した言葉がそれだった。

大麦は、そうかと微笑んで言った。

「それは怖いな。」

「そうですよ。」

いやいや、まさかの偶然の一致かもしれない。

椅子に座りなおして、周囲を見回す。

良かった、他に人の姿はない。

落ち着け、落ち着け私。
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