OUT

さよなら

「…は…はぁ…はぁ…は…」


永遠は息をするのさえ、苦しそうな真理和の肩を摩る事しかできなかった。


「…真理和…死ぬな…死ぬな……」


涙を目尻に滲ませ、永遠は真理和にそう励まし続けた。



車の中にはその励ましの声と、千草と真理和の苦しそうな息切れしか聞こえなかった。


…ブロォオオォオン……



「……あ…」


しばらくすると、いつも見ていた光景が、車の外から見えた。






ベビーカーをおす優しそうなお母さん


ビル


楽しそうに遊ぶ女子高生


大きなクリスマスツリー


幸せそうなカップル



いつも見ていたなにもない町並みが、今改めて見てみると、とても幸せに溢れていた。



永遠はその町並みを眺めた。




涙しか………
…出なかった。


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