薬指の秘密

お迎えはほろ酔い気分で

「しーるふ、お疲れ」

着替えを終えて階段を下りていると頭上から声がかかる

「お疲れ」

見上げればまだナース姿の飯田莉彩

「今日黒崎先生帰ってくるんでしょ」

お出迎えですか

「ううん。今日は同級会」

「え、黒崎先生一人さみしく帰国するの」

可哀そうに

「ちゃんとごめんね、って言ったもん」

別に。行って来ればいいよって言ったの海斗だし、気にしてないよ

あっけらんかと答えるしるふに

まあ、あの黒崎先生がお出迎えとか気にするわけないか

と納得したように頷く

「同級会ってことは、あれか、…山、崎?山本?がいるわけか」

「山岸君ね」

「あ、それそれ」

思い出せるのは、あの人懐こそうな笑み

「山岸君幹事だもん。いるに決まってるじゃない」

「あー、いかにも幹事って顔してる」

階段を下りてきてナースステーションに向かう途中、ふと足を止める
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