薬指の秘密
第2章

クリスマスは寒気とともに

「ああ…」

肩をすくませながら机に突っ伏すと思いのほかいい音がした

「やーばい」

寒気がしてきた

「ちょっと、本当大丈夫?」

ノウ、と意味を込めてふるふると頭を振れば、それだけで少し気持ちが悪い

「昨日仮眠室寒かったんだよね」

それが引き金だ

「黒崎先生ぴんぴんしてるけど」

風邪っぽいしるふに変わって外来診察に入っているほど

「黒崎先生は医局のソファで寝てた」

それが功を奏するってどういうことだ

「医局長に断って帰ったら?それでなくても昨日非番だったのに緊急呼び出しされて出勤してるんだし」

そう、朝気持ちよく寝ていたら海斗にたたき起こされてERを緊急で手伝って

泊まって、フレンチディナーがコンビニ食になり代わって

結果、朝から体がだるくて喉が痛い

無言で眉を寄せた海斗と心配する医局長を「熱はありません」と言ってやり過ごした午後

さすがに床とお友達になりたい

「いや、昨日運び込まれた柚木ちゃん気になるし、まだいける」

「それそう思いたいだけでしょ」
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