星に願いを~たくさんの幸せをありがとう~
2人だけの約束



~蒼 side~


俺は紺野蒼(こんのあおい)。
桜凛高校で保健の教師をしている。


桜空美姫(さくらみき)
桜凛高校2年。
体が弱く保健室によく来る。

大切な生徒であり

俺の好きな 人。

はじめて会ったのは一年前―

美姫が桜凛高校に入学したとき。

入学式で気分が悪くなった美姫を
保健室に連れていった時に
自分の病気の事を話してくれた。

第一印象は

小柄で人懐っこく
よく笑うかわいい子。

はじめて話した俺に人見知りせずに
自分の病気のことを話してくれた。

美姫は小さい頃に両親を亡くして
生まれた時から難病になっている。

そんな辛い事も笑って話してくれた。

辛いんだろうけど
美姫は人前で弱いところをみせない。

たまに切なそうな顔で笑う姿を見てるとこっちが辛くなる。


俺たちは教師と生徒。

恋愛関係になれない。

自分でもどうかしてると思う。

10歳も年下の
しかも生徒を好きになるなんて…。

でも好きなんだ。

いつも前向きに頑張っている美姫が

名前を呼んだり頭を撫でたりした時の嬉しそうな顔が。

自惚れかもしれないけど
「俺の事が好きなんじゃないか」と
思ってしまう。


ある日…

いつもと違い緊張した顔で保健室に入ってきた美姫。

何かと思ったら
調理実習で作ったクッキーを持ってきてくれたらしい。

すごい嬉しくておいしかった。

何かお礼がしたくて聞くと
すごい悩んでいる。

その姿がかわいくて笑ってしまった。

俺は自分の連絡先を紙に書いて渡した。

すると…

美姫は最初驚いた顔をしたと思ったら

目が潤んでいって
そして目がなくなるくらいの笑顔を見してくれた。

…それはずるいだろ。

自惚れちゃうだろ。

俺のケータイの画面には

「桜空美姫」。

俺はニヤけそうになるのを抑え冷静を装った。


やっぱダメだ。

何回も諦めようと思ったけど無理だ。

叶わなくても想うだけならいいよな。


ふと窓の外をみると綺麗な星空があった。

星空を見てると美姫が言った事を思い出す。

「星に願い事をする」

流れ星じゃないと意味ないんじゃないかと思うけど

「お願いするのは自由でしょ。」

って言ってた。

確かにそうだな。

そう思い

夜空に光る星を眺め

「いつか一緒になれますように」

そう願った。
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