カラダ探し~最終夜~

昨日まで姿が見えなかったのに、今日は一緒に登校してくれるなんてね。


「武司、大丈夫?」


「あ? 何が大丈夫なんだよ」


強がってはいるけど、落ち込んでいたんだろうな。


あゆみちゃんを失って、魂が抜けたようになっていたけど何とか元気を取り戻して。


かと思えば、今度は小川君。


死んだわけじゃないけど、信じられる友達がいなくなったというのは辛かったんだろうな。


「昨日まではちょっとまだ落ち込んでたんだよぉ? 武司ってば、ずーっと寝てたんだからぁ」


「言うんじゃねえよ! あれは……あれだ。化け物にどうやったら勝てるかイメージトレーニングしてたんだよ」


「そっか、やっぱり落ち込んでたんだね。武司って見かけによらず繊細だよね」


自分で言ってしまう、図太い留美子とは違ってね。


「イメージトレーニングだっつってんだろ! ったくよ……」


少し恥ずかしそうに、ムスッとした表情を浮かべた。


私達の「カラダ探し」は幸恵の激しい思い込みから始まった。


当の幸恵はあれから学校には来ていない。


仕返しをされるのを恐れてなのだろうか。


私はそんな事はどうでもよくて、考えてもいないのに。


自分が考えているほど、皆は何とも思ってないんだよね。
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