好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
「……? いますよ? 知りませんでしたか?」

「知らなかった」


そういえば、言ってなかったっけ。課長とは仲はいいけど、プライベートの話はそんなにしてなかったからなー。課長が独身だっていう話も、彼女がいないっていう話も、周りの女性社員の人たちから聞いた話だったし。



「いるんですよ」

「へえ~」

興味があるのかないのか、よく分からない反応だ。まあどちらにせよ、今詳しく話すことでもないだろう。


「じゃあ私、急ぐので」

「おう」

お疲れ様でした、と再度挨拶をして、私は課長に背を向けて歩き出した。


「夜中までプラプラして警察に捕まるなよ、小学生」

数歩進んだところで、背後から課長のそんな言葉が聞こえた。振り向き、課長を睨めば、課長はすでに私に背を向けて営業室へと向かっていた。……もう!
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