我が家には大きな黒猫が住み着いている。


その黒猫の名前はクロ。日向ぼっこが大好きで、よく窓辺で外を眺めては心地良さそうにハミングしているのだ。

柔らかそうな黒髪が窓から入る風にふわりと揺られている。本人は気づいていないようだけれど、後ろでぴょんと跳ねている寝癖が可愛い。



あの寝癖どうなっているの。普通あんな風になる?

思わず手を伸ばしたくなるけれど、ぐっと堪える。

おっと、危ない。触れてはいけない“決まり”なのだ。



「ん?」

クロが振り向く。

ビー玉みたいなまん丸い瞳に私が映る。

なんてお子ちゃまな童顔社会人。それに身長もギリギリ150cmなくて、この童顔と相まって中学生くらいに見られることも多い。




「……ごはん」

ああ、嫌だ。またぶっきらぼうな言い方してしまった。もっと可愛く言えたらいいのに。


それに屈託のない笑顔が眩しくて愛おしくて……手を伸ばしたくなる。


手を伸ばしたら彼は――——いなくなるのに。







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壁ドン企画  年下  同居  短編 

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