「これからみんなで昼飯行くんだけど、前川も一緒にどう?」

入社して三ヵ月。
どうやら今井君は私のことなどすっかり忘れているようで、皆と同じように接してくる。

「ごめん、今日はお弁当持ってきちゃったから」

目を見ることなく断ると、明らかに落胆した声が返ってきた。

「そっか。……じゃ仕方ないな。また今度誘うから」

チラッと顔を上げれば、すっかり部署内で溶け込んでいる今井君は、先輩達数名と共に出て行った。

「……二度と誘わないでいいから」

ガヤガヤとうるさい部署内では、私の声などかき消されていく。

前川理加。今井君と同じ同期入社。そのよしみでか今井君は頻繁に先ほどのように誘ってくる。
今井君は忘れているかもしれないけれど、中学時代、私は今井君のせいで心に深い傷を負わされたのだ。
そう簡単にこの傷は癒えるはずない。

名前だってそうだ。
理科の授業のたびによくバカにされた。みんなの前で何度も何度も――。

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