俺様魔王の甘い口づけ
運命の分かれ道

魔界への入り口



「遅刻~!」



私、佐倉芽衣子。
無事高校生になった私は、さっそく遅刻しそうになっていた。


癖っ毛でウエーブしたロングヘアを振り乱し、ひたすらに走る。


だって、お母さんたら起こしてくれないんだ。
そりゃあ目覚ましをセットし忘れてた私にも非はあるけども。
普通娘が起きてこなかったら、起こしに来るよね?


うちの親は、普通じゃなかった。




慌てて起きてきた私に「あら、まだいたの?」なんて言い放つ冷酷さ。
親としてどうなの!と言いたい。



だから、朝ご飯も食べそこねひたすらに走るという、罰ゲームのようなことになっている。




「めーこ!おはよう!」




校門の近くで、呼び止められたことで、遅刻は免れたんだとホッとする。
ショートヘアの彼女は、高校に入ってできた友だちの渡辺唯花だ。



私は走る足を緩めながら息を整える。




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