おじさまに、ドン!
ちょっと苦しいのですよ



いつからだったろう。寛治さんのことを、ただの保護者と見られなくなったのは。

少なくとも、中学に上がる年には異性として意識してたと思う。


最初はただの憧れだとか、優しくしてくれるからだとか、思春期にありがちな恋に恋してる状況だって思おうとした。これは本物の恋なんかじゃない、気のせいとか、思い込みなんだって。

自分に必死に言い聞かせてきたけど、駄目だった。 誤魔化せないほどに、想いが膨らみきってしまったから。


自覚してしまえば、もう後は辛いだけ。


フリーランスの仕事をしてる寛治さんは付き合いで、いろんな人と会う。当然美人さんとも付き合いがあって、そのまま朝まで帰って来ない日もたくさん。

相変わらず美人さん達は日替わりでやって来るし。広いマンションだけど、深夜に2人が何をしているか解らないほどの子どもじゃない。


「寛治さん、あたし寛治さんのことが好きだよ」


翌朝一世一代のつもりでした告白を、寛治さんは笑って「オレもくるみちゃんが好きだよ」と頭を撫でてくれて。子ども扱いはやめて! とむくれたあたしの頬っぺたを軽くつねったけど。
翌日から、女性達がマンションに来ることはなくなった。


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