驚きから、ついその場に立ち止まってしまった私。そんな私以外にも、この現場に衝撃を受けたのか、それともただの興味本位か、足を止めて二人の男女の様子を伺っている人は数人いた。

 しかし、私は我に返ると小さく一歩踏み出した。

 これ以上見ているのも失礼だし趣味が悪い。第一に、私は早く会社に行かないと。そう思いながら、私は最後に横目で男女を見た。どうやら女の人は既に去ってしまったようで、ビンタされていた男の人は側にあった建物へと寄りかかり頬を痛そうに抑えていた。

 うわあ、痛そう。凄い音してたもんな。

 呑気にそんな事を思いつつも私には関係無いことだと考え、その男の人の目の前を通り過ぎようとしたのだが



「っ、てぇー……」



男の人のこの小さな言葉に、何故か私は何もせずにはいられなくて



「……………どうぞ」



男の人とは目線を合わせないようにしながらもハンカチを渡し、逃げるようにして会社へと向かったのだ───。





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