君と奏でる音[前編]



 彼女、水橋幸音は小さいころからやんちゃだった。
いつも近所の男の子たちと泥だらけになって遊んで、挙げ句の果てにはケンカして、一発拳をぶちこみ、半泣きで帰っていったりもした。


けれども僕は、幸音に感謝の気持ちでいっぱいだ。


ピアノばっかりで、部屋にこもりっぴなしの僕を引き出してくれた。『一緒に遊ぼう、奏ちゃん!』って。


 幸音は本当にバカで単純で天然なところもあるけど、人一倍他人想いの優しい子なんだ。


ケンカのこともそうだ。
言葉が足らなかったけど、その男の子には幸音の何かが伝わって、翌日からは幸音を尊敬してた。
本当はすごい子なんだと思う。



少なくとも僕は。




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