「彼女はミルクを三分の一程度しか飲まないんだ。あまり無理に与えると体調を崩してしまうから気を付けておくれ…」



「あぁ。わかった。ミルクの量だな」



エデンは"うんうん"と快く頷いている。



「ミルクの後は抱いたまま背中を擦ってやって欲しい…おそらくそのまま眠ってしまうから、私のベッドを使ってくれ」



「そうか、キュリオ殿寝室は…城の者に聞けばわかるか」



「…それと、最近足腰の力がついてきたようでね…寝返りに気を付けてくれ。この前、危うくベッドから落ちてしまうところだったんだ」



「なるほど。"成長の証"というやつかもしれないな…」



そんなキュリオの言葉に耳を傾けていると、どれ程彼が赤子に入れ込んでいるかがわかる。



「もし、この子がどうしても湯殿に入りたいというなら、なるべく彼女の肌を見ないように湯浴みを頼む。女の子だからね…例え君であっても男の目には触れさせたくないんだ」



「ん…?あぁ、父親のような本音が出てきたな。キュリオ殿」



「…?それは無論だよ。血は繋がっていなくとも私たちは家族だ」



(さすがは<慈悲の王>だ…)



詳しく事情の知らぬエデンはキュリオを感心した眼差しで見ている。



「それから、いくら可愛いからと言って顔に口付けはしないでくれ。もしするのなら…手の甲、いや…やはり…どこにもしないでくれ」



「…わかった…」



ははっと笑うエデンだが、キュリオの口調がだんだん強くなってきている気がした。




「"あーん"も駄目だ。それはいくらエデンでも許可は出来ないよ。」



「"あーん"…?」



「言うのを忘れていた。ミルクをあげるときの角度はこのくらいだ。"人肌ていど"で頼む」



「それから…」




「………」



「……」




「…」




キュリオの"お願い"は日が傾き、夕暮れをむかえても続いた。いよいよ覚えられなくなってきたエデンは、ふと空を見上げ…ひとつの疑問をキュリオに投げかける。




「キュリオ殿…」





「この子はまだ歩けないからね……何だい?エデン」





「…公務はいいのかと思ってだな…」





「あぁ。それなら…」




















「すべてキャンセルした」


















✿【ショートストーリー】
キュリオとエデン、時々アオイ



❤おしまい❤

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