【壁ドン企画】密楽遊戯
流行りの壁ドン試してみた



「ねぇ、ちょっとここに手ついてみて」


シャワーから出て来た男の髪は未だ半乾きで、ガシガシとタオルでそれを拭いている。
純白という最もこいつに似合わないであろう色のバスローブを身に纏い、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターをがぶ飲みしている背中を黙って睨みつけた。

くっそう、色っぽいな。
首筋へと滴る水滴も、水を含むたびに動く喉仏も。バスローブからはだけてちらりと見えるあの背中には、先ほど私がつけたであろう爪痕がまだ残っているだろう。

ギラギラとしたいかにもすぎる趣味の悪いこの一室は、なんというか、欲にまみれた男女が集うあの建物内で。
例に漏れず、私とこの男=遊佐(ゆさ)もご想像通りの行為を終えたあと、というわけだ。


どう考えても目に悪いだろというショッキングピンクの壁を背に、“とあるお願い”を試みたのである。

「は?なに、いきなり」

「だからぁ!私のここに手ついてみてってば」

自分がもたれかかっている壁を指差し、再度訴える。
訳が分からないといった風に男は私をシカトし、壁から引っぺがしてまた趣味の悪いベッドに押さえつけた。


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